肺炎は抗生物質などの薬の進歩と医療技術の向上により、かなりよく治療できるようになりました。しかし、高齢者の方、特に心臓や呼吸器に慢性疾患のある方、腎不全、肝機能障害、糖尿病のある方などにとっては、肺炎はいまだに怖い病気です。また、急速に症状が進んだ場合、抗生物質などによる治療が間に合わないこともあり、危険です。
地球上には、細菌やウイルスなど、目に見えない微生物が数多くいますが、肺炎球菌は細菌の中の一つです。この肺炎球菌は、体力が落ちている時やお年寄りになって免疫力が弱くなってくると病気を引き起こします。肺炎球菌が引き起こす主な病気としては、肺炎、気管支炎などの呼吸器感染症や副鼻腔炎、中耳炎、髄膜炎などがあります。なかでも、肺炎の多くは(約80%)この菌が原因と言われています。
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肺炎球菌ワクチンとは、肺炎球菌によって引き起こされるいろいろな病気(感染症)を予防するためのワクチンです。従って、肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌以外の原因による病気(感染症)に対しては残念ながら予防効果はありません。インフルエンザウイルスに多くの種類があるように、肺炎球菌にも多くの種類がありますが、このワクチンは、1回の接種でほとんどの型に効くようにつくられています。この免疫はよく持続して5年以上続きますし、ワクチンは安全に接種できることが確認されています。ただし、過去にこのワクチンを受けたことのある人は、再接種(2回目の接種)はできません。
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